アプサラダンスは、カンボジアの伝統的な宮廷舞踊です。
美しく煌びやかな衣装に身を包んだ女性たちが、独特のリズムを刻む音楽に合わせて妖艶に舞うアプサラダンス。
今回は、このアプサラダンスの魅力をご紹介します。
もくじ
1 アプサラダンスの魅力
カンボジアというと、まず多くの方が思い浮かべるのはアンコールワットではないでしょうか。
アプサラダンスは、そのアンコールワットの壁画をもとに創作されました。
アプサラダンスの「アプサラ」とは、古代ヒンドゥー教の神話に登場する水の精です。アンコールワットの壁画にも、その美しい水の精の女神レリーフが描かれている程です。
踊り子たちのその優しい微笑みと、美しい腰の動きを見つめていると、当時の魅力を現代にそのまま持ち込んで来たかのようなタイムトリップ感を体験することが出来ます。
2 アプサラダンスの歴史
2.1 伝統舞踊としてのアプサラダンスの始まり
アンコール王朝時代(9世紀~15世紀)の王たちは、神と交信しながら政治を行ったといわれています。神がいる場所である天界と、王たちがいる下界を繋いでいたのが踊り子たちです。
どの王たちも自身の舞踏チームを持っており、踊り子たちは重要な儀式の度に美しい踊りを披露し、神に捧げていました。それが伝統舞踊の始まりとされています。
2.2 アプサラダンスの誕生
画像:shankar s.
アンコール王朝時代は、15世紀に終わりを迎えます。
アンコール王朝の終焉と共に、伝統舞踊も終わりを迎えてしまいました。
しかし、19世紀にカンボジアはフランスの植民地となり、フランスの力の元に復興を遂げ、20世紀半ばに独立しました。
その間にも、王室にひっそりと守られ続けた伝統舞踊。もともと、宮廷舞踊としてたくさんの演目があったのですが、一番に良く知られるアプサラダンスは20世紀半ばにアンコールワットの壁画を元に創られました。
実は、アプサラダンスはとても新しい舞踊なのです。
3 アプサラダンスのストーリー
3.1 アプサラの誕生
水の精であるアプサラはどのように誕生したのでしょうか。
アプサラはヒンドゥー教に伝わる天地創造の物語「乳海撹拌」から誕生します。その神話によると、争いを続けていた神々と悪鬼たちは、やがて争いに疲れ果て、世界を維持する偉大な神ヴィシュヌ神にアドバイスを求めます。
ヴィシュヌ神は、神々と悪鬼たちに「協力して大海をかきまわしなさい」と命じます。神々と悪鬼たちがかきまわした海がやがて乳海となり、その中から誕生したのが水の精、アプサラだといわれています。
3.2 アプサラダンスの意味
画像:Sodanie Chea
アンコールワットの壁画をもとに創られたアプサラダンスの内容は、特に起承転結のある物語仕立てになっている訳ではありませんが、乳海撹拌から生まれた水の精・アプサラたちが美しい花園で楽しげに遊ぶ姿が表現され、美しいアプサラに男性たちは心奪われる、という内容になっています。
アプサラダンスの歌の中に意味があり、その歌詞に合わせて振付がされています。この踊りの型は4500以上あるとされていて、ダンサーたちは手や足、首や目線の動きを組み合わせ、登場人物の感情やストーリーを表現します。
4 アプサラダンスの美しい衣装
4.1 アプサラダンスの着付けにかかる時間
画像:Mike
日本の伝統的な衣装といえば着物ですが、最近は着付けをしっかり学んでいない人でも簡単に着られる着物が出てきました。
アプサラダンスも同様に、その昔は公演の度に衣装を縫い合わせる段階があったため、準備に1時間はかかったそうですが、今では簡易的な衣装もでき、30分程度で準備が出来るそうです。
4.2 アプサラダンスに使う神聖な装飾品
アプサラダンスの衣装の中で最も印象的な大きな冠はモコットと呼ばれ、昔は金属で出来ていたため、重さはおよそ2kgもありました。衣装の中で最も神聖なものとなっています。
5 プノンペンでおすすめのアプサラダンスのショー
5.1 プノンペン国立博物館
カンボジアの首都・プノンペンは、アンコールワットを抱える観光地・シェムリアップに比べると比較的アプサラダンスを見られる場所が限られていますが、このプノンペンの国立博物館で見られるアプサラダンスはとても本格的です。
アプサラダンスだけではなく、伝統ある宮廷舞踊や民族ダンスも併せて見ることが出来ます。
公演の時間は毎晩19:00~20:30。入場は18:30から可能です。なお、日曜日はお休みなのでご注意ください!
料金は基本は45ドルだそうですが、ツアーなどでパッケージで申し込むとお得な価格で見られることも多いです。
プノンペンは首都ですが、とても狭い街なので、行き方もトゥクトゥク(現地のバイク式タクシー)のドライバーにお願いすると何処でも簡単に行くことが出来ます。
しかし、現地のトゥクトゥクドライバーは、相手が観光客だとわかると料金のぼったくりをしてくる人が殆どですので、一番おすすめの行き方は、Grabアプリです。
こちらの記事で詳しくGrabアプリについて紹介していますので、良ければ見てみて下さいね。
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日本でGrabアプリをダウンロードしておき、カンボジアの空港でSIMカードを購入すると利用できます。
Grabアプリでトゥクトゥクやタクシーを呼ぶと、行き先もアプリ上で指定でき、値段交渉の必要がなく、現地の言葉があまり分からなくても安全に何処へでも行くことが出来ます。
もしGrabアプリの操作が難しい場合は、宿泊ホテル専属のドライバーにお願いすれば、ぼったくりや道に迷うなどの嫌な思いをしなくて済むでしょう。
6 シェムリアップでおすすめのアプサラダンスのショー3選
6.1 クーレン2(Koulen 2)
画像:WIL
世界遺産であるアンコールワットがあるシェムリアップは、世界中から観光客が押し寄せます。
そのため、アプサラダンスショーが見られるレストランが数多くあります。
1番のオススメは、クーレン2というレストランです。シェムリアップで一番大きな道であるシヴァタストリートの真ん中という好立地にあり、食事はカンボジア料理をビュッフェ形式で楽しめます。
ショーの後にはアプサラダンサーたちと記念写真を撮ることも可能です。料金はビュッフェ込みで12ドル程ととてもお手頃価格。
ショーの時間は19時半から1時間です。
シェムリアップの繁華街とされるパブストリートから徒歩10分程で行くことが出来ます。
市街からならやはりGrabアプリ、またはホテル専属のトゥクトゥクやタクシーの利用が安心です。
6.2 ポア・キュイジーヌ(Por Cuisine)
画像:Por Cuisine
多くのアプサラショーが見られるレストランが大規模収容で賑やかなのに対し、こちらのポア・キュイジーヌは小規模レストランのため、落ち着いて近くでアプサラダンスを見ることが出来ます。
カンボジア料理だけではなく、イタリアン料理も味わうことが出来ます。料金は、カンボジア料理セットで15ドルです。
ショーの時間は19時から1時間程です。こちらの場所は中心地から少し離れているため、やはりGrabアプリやホテル専属のトゥクトゥクやタクシーで行くのがおすすめです。
6.3 テンプルクラブ(Temple Club)
画像:TempleClub
このテンプルクラブは、シェムリアップで最も賑わう道であるパブストリートにあります。カンボジアの若者たちにも大人気のクラブで、日が落ちれば紫色に光り始める店内にたくさんの若者が訪れます。
もちろん、観光客にも大人気の場所で、深夜までカンボジア人の若者と観光客がダンスを共に楽しむ光景が見られます。
そんなテンプルクラブの2階バルコニーでも、19時半からアプサラダンスショーを楽しむことが出来ます。
小規模で他レストランと比べると短めのショーですが、なんと料金は無料。食事や飲み物代だけで見ることができるので、とてもお得です。パブストリートにあるので、中心地に宿泊していれば徒歩で行くことが可能です。
7 アプサラダンスのショーに行きたい方へおすすめの宿泊エリア
7.1 プノンペン
プノンペンはカンボジアの首都ですが、規模がとても小さく街の端から端まで渋滞さえなければタクシーで30分ほどで行けてしまうため、どこのホテルに泊まっても目的地までは容易く行くことが出来ます。
しかし、朝夕の通勤・帰宅ラッシュは街じゅうの道路が激しく渋滞するため、街の中心部のホテルを選ぶとより国立博物館にも行きやすいです。
オススメのエリアは、プノンペンの高級住宅街と言われるボンケンコン地区です。近くに独立記念塔やイオンモール、お洒落なレストランも数多くあり、アプサラダンスショー以外の観光にも便利です。もう一つオススメなのがリバーサイド周辺です。
こちらも国立博物館まで行きやすく、さらにトンレサップ川・メコン川を眺めながら食事をしたり、ナイトマーケットなどのお土産スポットにも徒歩で行くことができるエリアです。
7.2 シェムリアップ
シェムリアップは、プノンペンに比べてもかなりコンパクトな街なので、こちらも何処に宿泊してもアプサラダンスショーの公演がある目的地まで短時間で辿り着くことが出来ます。
その中でも、利便性の高いエリアはまずパブストリート周辺です。パブストリートはシェムリアップで1番に賑わう通りとなっており、様々な国のお料理がリーズナブルに楽しめたり、バーやお土産屋さんも集中しています。
次にシヴァタ通りのホテルもおすすめです。
シヴァタ通りはシェムリアップで最も太い通りとなっており、この通りにも大型スーパーやお土産屋さん、ナイトマーケットなどの観光地が密集しています。
最後に、国道6号線沿いもおすすめです。
国道6号線はカンボジアの大動脈となっており、シェムリアップでは空港まで続く道になっています。パブストリートやシヴァタ通りなどの中心地から少し外れ、少し静かな環境でリゾート気分を満喫したい方におすすめです。
8 カンボジア・アプサラダンスのショーまとめ
カンボジアを代表する伝統舞踊・アプサラダンス。
カンボジアといえばアンコールワットですが、それと同じくらい見応えのある美しい踊りです。
アプサラダンスは見るだけではなく、衣装を体験できるお店や、実際にアプサラダンスを教えてくれる場所もあるので、興味がある方はぜひご自身で体感してみてはいかがでしょうか。一生ものの旅の思い出になること間違いなしです。