2019年4月23日の「迷宮グルメ異郷の駅前食堂」では、北マケドニアの首都スコピエが特集されていました。お笑い芸人ヒロシさんが立ち寄ったお店の数々も掲載したので、ぜひ参考にしてみてください。
日本人の99%が一生訪れることのない国と言われる、北マケドニアの首都スコピエは、外務省によると在留邦人は16人しかいない未知の土地!
知る人ぞ知る風変わりで奇怪な街・スコピエにスポットライトを当ててみましょう。
もくじ
1 銅像だらけの不思議な街
スコピエに訪れた人たちが大抵びっくりするのが、銅像・モニュメントの多さ!こんなに不思議な彫刻が置かれた街は他に見たことがありません。
街のいたるところに、結構びっくりするサイズの銅像やモニュメントが乱立しています。まるでどこかのテーマパークに来てしまったよう。首都なのに…!
マザー・テレサ
マザー・テレサはここスコピエ出身なんです!
アレキサンダー大王(マケドニア・スクエアにて)
「スコピエ2014プロジェクト(Skopje 2014 project)」の名の下に、2014年から街の中心部が一気にリノベーションされ始めました。
これらの銅像も、そのプロジェクトの一環で建てられたんだそう。銅像のほとんどはマケドニアの芸術家や歴史上の偉人です。時々、ショッピング好きの女子やダイバーなんかも混ざってますよ。
他国の有名建造物を模したモニュメントも多く、観たことのある建造物の姿も…(これはパリの凱旋門ですね)。
観光客を増やすための施策らしいのですが、現地の人からの評判はあまり良くないようで、抗議の意味を込めてカラーボールで汚されていたりします。2016年のカラフル・レボリューションと呼ばれているそう。
ある意味、そんなところも混沌としたスコピエの良さと言えるかもしれませんね!?
スコピエの中心を流れるヴァルダル川沿いには、歴史建築物風の建物が建ち並んでいますが、実はこれらの建物は全然古くありません。
2010年ごろに建てられたものがほとんどで、とっても新しいんです。面白いですよね。
2 スコピエのアレクサンダー大王像とギリシアの関係
スコピエの中心地、マケドニア・スクエアに勇ましくたつアレクサンダー大王の銅像。
実はこのアレキサンダー大王にまつわる話に、ギリシアとの長きにわたる対立関係があるのですが、ご存知ですか?
マケドニアは1991年に旧ユーゴスラビアから独立したのですが、この「マケドニア」という国名がギリシアの逆鱗に触れました。なぜなら、マケドニアと隣接するギリシア北部の歴史ある地域も同じ「マケドニア」という名前だからです。彼らのアイデンティティーが脅かされたように感じたんでしょうね。
また古代マケドニア王国の中心地がギリシアにあったこともあり、ギリシア以外の国が「マケドニア」を名乗ることにも反発があったのかもしれません。
さらに首都スコピエの中心地に大きなアレクサンダー大王を立てたり、スコピエにある空港を「アレクサンダー大王空港」と名付けたことで論争は加熱!ギリシアは彼らの偉大なシンボルである「アレクサンダー大王」を盗まれたと強く反発しました。
これだけ愛や憎しみの込められた銅像は他にあるでしょうか?
ちなみに、ついに最近、マケドニアは「北マケドニア共和国」と国名を変更することが決まりました。これで長らく続く、ギリシアとの敵対関係も多少緩和するのでしょうか…?
3 スコピエと日本人・丹下健三の繋がり
画像:ミライノシテン
スコピエの街では、銅像やモニュメントの他にもたくさん見られるものがあります。
それが、ブルータリズム建築様式で建てられた建物です。もしもあなたがコンクリート建築が好きなら絶対にオススメな場所なんです!
これには、スコピエの悲しい歴史が関係しています。
遡ること56年前、1963年にスコピエは巨大な地震に襲われます。スコピエの街の80%が壊滅。1,000人以上の人が命を落とし、負傷者は4,000人、家をなくした人は20万人にも登りました。
そのため、現在でもスコピエの歴史的建造物が見られるのは、ヴァルダル川を渡ったオールド・バザールのみなのです。ヴァルダル川を挟んだ新市街の建造物は、地震で完全に破壊されました。
この悲劇的な状態を救うため、78カ国がスコピエの支援に当たりました。現在、スコピエで二階建てロンドンバスを見ることができるのも、これが理由!ロンドンがスコピエにバスを寄付し、スコピエは感謝の意を込め、元のデザインそのままで使っているそうです。
ただテレビ番組「迷宮グルメ」では『2011年に観光復興のために購入した』と紹介されてましたね。どっちが正しいのかな…?
スコピエでは、ロンドンバスが本場ロンドンより多いんじゃないかという勢いで走っています。なんだか不思議な光景…!!!
震災から2年後、スコピエの都市計画のコンペが行われ、選ばれたのが日本人の有名建築家・丹下健三氏だったのです。当時はブルータリズムの全盛期だったこともあり、彼は未来のコンクリート建築であるブルータリズムを要とした都市計画を提案しました。
残念ながら、マケドニアの急速な人工増加などが理由となり、完全な再現はなされませんでしたが、それでもたくさんのブルータリスト建築が建てられました。
ブルータリズムってなんだ!?という人も安心してください。コンクリートむき出しのちょっと変わった建築物があったら、それがブルータリズム建築です。笑
ブルータリズムの元となった「ブルータル」という言葉は、「冷酷な」という意味があり、ブルータリズム建築も、その名の通り打ちっぱなしコンクリートを使った冷酷で荒々しい建築です。
その独特な建築方式にはファンも多いのですが、近年ではこのブルータリズム建築がスコピエから姿を消しつつあります。
数年前にはスコピエ行政裁判所が、2014年スコピエプロジェクトなどで建てられた歴史建造物風の他の建物に似せるために、大理石で覆われてしまいました。他にもいくつか、ブルータリズム建築の建物が壊されたりしているようです。
もしもスコピエ独特のブルータリズム建築を観たいという方がいたら、急いだ方がいいかもしれません。いつまでこの素晴らしい建築物が残されるのか、現状では誰にも分からないといった状況なのです!
4 オールド・バザールで昔のスコピエに思いを馳せる
スコピエのオールド・バザールは、バルカン半島の中でイスタンブールに次いで2番目に大きいバザールなんです!異国情緒あふれるバザールは、スコピエに行ったら見逃せません。
オールド・バザーに入るとすぐに気がつくのは、美味しそうなお肉の匂い…。入り組んだ道はまるで迷路のようで、ますます魅力的。ぐるぐる回っているうちに思いがけず、「ベジステン」と呼ばれる古いマーケットや、「ハマン」と呼ばれる公衆浴場を見つけてしまうかもしれません。
オールド・バザール周辺は、スコピエの他のエリアとは一線を画していて、まるで100年前で時が止まってしまったよう。小さくて古い建物が立ち並び、カフェやレストラン、床屋さんにバーなんかが所狭しと並んでいます。
ただ散策するだけでも、とっても楽めるエリアなんです!
5 スコピエのカフェ文化に注目
バルカン半島の都市は、魅力的なカフェ文化があることでよく知られているそうなんですが、ここスコピエも例外ではありません!
芳醇で、美味、しかもお買い得なコーヒーが、スコピエには揃っています。
スコピエのカフェに行きたい場合は、オールド・バザールか、デヴァル・マアロというボヘミアンな雰囲気の残るエリアがオススメ。
デヴァル・マアロは街の中心地からもほど近い閑静な場所。新市街中心のテーマパークのような世界観に疲れたら、デヴァル・マアロはちょっとした休憩や逃避にぴったりと言えるでしょう。
たくさんのカフェやレストランが立ち並んでいるので、お気に入りのお店を見つけてみてください♡
6 迷宮グルメでヒロシさんが訪れた場所
画像:迷宮グルメ
BS朝日5チャンネルで、毎週火曜夜11時から放映している「迷宮グルメ 異郷の駅前食堂」という旅番組があります。
お笑い芸人もとい、Youtuberのヒロシさんが毎週いろんな国の駅を訪ねているのですが、2019年4月23日の放送でスコピエが取り上げられました!
せっかくなので、ヒロシさんが訪れた場所についてまとめてみましたよ。
6.1 北マケドニア・スコピエ駅
スコピエ駅は、先ほどご紹介した日本人建築家・丹下健三氏の設計によるものです。大地震の際に旧駅が壊れてしまったため、丹下氏の設計をもとに新しく建てられました。
実はスコピエではバスの方がよく使われており、他の国と行き来する国際バスというのもたくさん走っています。島国の私達からするとびっくりしますよね。
そのせいなのか、スコピエ駅はなんとなく暗〜い雰囲気が漂っています。奇怪遺産の佐藤さんにでも紹介したい感じですね…笑
ちなみに旧駅は、現在博物館になっています。旧駅の時計は、今も地震が起きた5:17をさして止まっています。
6.2 アートブリッジ
画像:迷宮グルメ
噂の銅像がたくさん集まっている橋。スコピエに来たら外せない観光名所です。
6.3 ストーンブリッジ
画像:迷宮グルメ
1963年の大震災を耐え抜いた石造りの橋。マケドニアの歴史を感じさせる橋ですね!
ここを渡ればオールドバザールなどがある旧市街です。
6.4 PALAS(パレス)
画像:迷宮グルメ
放映時にヒロシさんがチョイスした、今回の食堂がこちら!
PLASと書いて「パレス(宮殿)」のことのようです。
地元の人が沢山いる雰囲気のいいお店でした。ヒロシさんが注文したのがこちらの品々。
カラフルで結構おいしそう。
日本では絶対にお見かけしない料理・テレチャチョルバ!
ニンニク入りのお酢とレッドパウダー(粉末唐辛子)を少し入れて食べるのが現地流。
こちらのソーセージみたいなお料理はチェバプチチ。
一見臭みがありそうですが、ヒロシさんによると「そんなことなくて食べやすい!」とのこと。ちょっぴり塩味濃いめらしいです。
しかも!!
なんと全部で150デナリ(≒300円)というから、衝撃の安さ。マケドニアは本当にお安く美味しい料理が食べられるのが嬉しいですね〜!
お店のある場所はこちら。
地図はHotel Klanを指してますが、PLASはこのホテルの右隣に位置してます。
7 まとめ
とっても独特で、摩訶不思議な都市・スコピエ。
きっとあなたも行ってみたくなったんじゃないでしょうか?バルカン半島のまだ見ぬ文化にぜひ実際触れてみてくださいね!
以上、おしるこでした!